
「貯金をしようと思ってもなかなか続かない」「節約をしているつもりなのにお金が残らない」といった家計の悩みを抱えている方は少なくありません。お金を貯めるためには日々の節約を頑張ることも大切ですが、それ以上に重要なのが「貯まるしくみ」をつくることです。しくみを一度つくってしまえば、意識しなくても貯蓄が勝手にすすみます。本記事では、無理なく貯蓄を続けるための家計のしくみづくりについて解説します。
1 「何のために、いつまでに、いくら貯めるか」を決める
貯蓄を始めるときに、最初に考えたいのは「何のために貯めるのか」という目的を明確にすることです。教育費、住宅購入資金、車の買い替え、旅行、老後資金など、お金を貯める目的は人によってさまざまです。
目的が決まったら、次に「いつまでに」「いくら必要なのか」を考えます。例えば、5年後に200万円必要なのであれば、単純計算で年間40万円、毎月約3万3,000円を準備する必要があります。10年後に300万円必要なら、年間30万円、毎月2万5,000円です。
「できるだけたくさん貯めよう」と考えるだけでは、毎月いくら貯蓄すればよいのか分かりません。しかし、「5年後までに200万円」とゴールが決まれば、今やるべきことが具体的になります。
貯蓄は、「何のために」→「いつまでに」→「いくら」→「毎月いくら」という順番で考えると分かりやすくなります。
教育費のように必要になる時期がある程度決まっているものは、子どもの年齢から逆算することができます。住宅購入や車の買い替えなども希望する時期を決めれば必要な準備額が見えてきます。もちろん、老後資金のように必要額を正確に決めることが難しいものもあります。その場合も、まずは現在考えられる範囲で目標を設定し、定期的に見直していけばよいでしょう。
また、将来の目的のためだけでなく、収入の一定割合を貯蓄するという考え方もあります。例えば手取り収入の10%、20%など、自分の家計に合った貯蓄率を決めておく方法です。
大切なのは、「今月余ったら貯める」のではなく、先に貯蓄額を決めることです。
一般的に家計は、
「収入-支出=貯蓄」
と考えがちですが、貯まる家計をつくるためには、
「収入-貯蓄=支出」
と考えます。
収入が入ったら先に必要な貯蓄額を取り分け、残ったお金の範囲で暮らす。まず貯蓄のゴールを決め、そこから逆算して毎月の貯蓄額を家計に組み込むことが、貯まる家計づくりのスタートです。
2 貯蓄は「先取り」「自動」「別の場所」でうまくいく
毎月の貯蓄額を決めたら、次は確実に貯蓄できるしくみをつくります。抑えておくべきポイントは「先取り」「自動」「別の場所」の3つです。
まず、給料が入ったら生活費を使う前に貯蓄分を取り分けます。これが先取り貯蓄です。さらに、毎月自分で貯蓄口座へ振り込むのではなく、自動積立定期預金などを利用して、決めた金額が自動的に移動するようにしておきましょう。資産運用をする場合も、積立設定を利用すれば毎月決まった金額を自動的に積み立てることができます。そして、貯蓄するお金は普段の生活費を支払う口座とは分けておきます。例えば、給料日に30万円が入金され、そのまま同じ口座から生活費を支払っていると、30万円すべてが使えるお金のように感じてしまいます。一方、給料が入った時点で5万円が自動的に貯蓄用の口座へ移れば、残った25万円がその月に使える金額になります。貯蓄するたびに「今月はいくら貯めよう」と考える必要がなく、一度設定すれば毎月同じことが繰り返されます。貯蓄を意志の力だけで続けようとするのではなく、最初から使えないところへ移してしまうことが、無理なく貯蓄を続けるポイントです。
3 固定費を見直して貯蓄できるお金を増やす
先取り貯蓄をしたくても、「今の家計では貯蓄に回せる余裕がない」という場合もあるでしょう。その場合には支出を見直し、貯蓄に回せるお金をつくる必要があります。
支出には、住居費や保険料、通信費など毎月ある程度決まった金額がかかる「固定費」と、食費や日用品費、交際費など月によって金額が変わる「変動費」があります。
家計を改善するときは、まず固定費から確認してみましょう。
例えば、通信費を月5,000円削減できれば、年間では6万円の支出削減になります。保険料や利用していないサブスクリプションなども含めて月1万円見直すことができれば、年間12万円です。固定費を見直すメリットは、一度見直せば節約効果がその後も続くことです。食費を毎月1万円減らすためには、買い物をするたびに価格を意識したり、外食を控えたりする必要があります。一方、固定費は契約を一度変更すれば、その後は特別な努力をしなくても支出を抑えることができます。もちろん、変動費の中に無駄な支出が多ければ見直しは必要です。しかし、毎日の生活を切り詰める前に、まずは金額が大きく、見直し効果が長く続く支出がないか確認しましょう。
そして重要なのが、固定費を減らして浮いたお金をそのまま使わないことです。通信費を月5,000円減らすことができたら、先取り貯蓄を5,000円増やすなど、支出の削減と貯蓄をセットにします。
「固定費を減らす→貯蓄額を増やす→自動で積み立てる」という流れまでつくることで、家計改善の効果を確実に資産形成につなげることができます。
4 お金は目的別に分けて管理する
貯蓄をするときには、すべてのお金を一つにまとめるのではなく、使う目的や時期に応じて分けておくことも大切です。家計のお金は、大きく「今使うお金」「近い将来使うお金」「長期的に準備するお金」に分けて考えると分かりやすくなります。
「今使うお金」は毎月の食費や光熱費、日用品費など日常生活に必要なお金です。
「近い将来使うお金」は、数年以内に必要になる教育費、車の購入費、旅行費などが該当します。
「長期的に準備するお金」には、大学進学などまだ先の教育費や老後資金などがあります。
例えば、預貯金が300万円あったとしても、そのうち100万円を翌年の教育費、50万円を車の買い替え費用として使う予定であれば、300万円すべてを自由に使えるわけではありません。目的を決めずに同じ口座で管理していると、「貯蓄が300万円ある」と思っていたのに、大きな支出が重なったことで一気に減ってしまうことがあります。あらかじめ使う目的を決めておけば、現在いくら貯まっているのか、あといくら準備する必要があるのかも把握しやすくなります。
ただし、目的ごとに銀行口座を細かくつくりすぎると管理が複雑になります。家計管理は長く続けることが大切です。自分が把握できる範囲で、シンプルに分けるようにしましょう。
5 特別費をあらかじめ家計に組み込む
毎月は黒字なのに、年間を通してみると思ったほど貯蓄が増えていない場合は、「特別費」が家計から抜けていないか確認してみましょう。特別費とは、毎月ではないものの、年間を通して発生する支出です。例えば、旅行や帰省、税金、車検、家電の買い替え、冠婚葬祭、子どもの入学準備、誕生日やクリスマスなどがあります。こうした支出があるたびに「今月は特別だから」と貯蓄を取り崩していると、毎月先取り貯蓄をしていても、なかなか資産は増えていきません。特別費の多くは、ある程度予測することができます。誕生日やクリスマスは毎年来ますし、車検や税金も支払い時期が決まっています。子どもの進学時期も年齢から予測できます。家電の買い替えなど時期が正確に分からないものについても、一定の予算を見込んでおくことはできます。まずは、1年間に予定されている特別費を書き出してみましょう。年間60万円程度の特別費が必要になるのであれば、月平均では5万円です。毎月の生活費とは別に年間60万円が必要になる家計として、あらかじめ資金を準備しておきます。毎月の生活費だけではなく、年間で発生する支出まで含めて家計を考えることで、貯蓄を予定外の支出で取り崩すことを防ぐことができるようになるでしょう。
6 貯蓄した残りは「使ってよいお金」
貯まる家計をつくるというと、「できるだけお金を使わないこと」が重要だと思われるかもしれません。しかし、家計管理の目的は支出を極限まで減らすことではありません。
先取り貯蓄をして、将来必要になるお金や特別費も準備できているのであれば、残ったお金は今の生活のために使ってよいお金です。食事を楽しみたい、旅行へ行きたい、趣味にお金を使いたい、子どもの教育にお金をかけたいなど、お金を使いたいところは家庭によって異なります。すべての支出を均等に削減するのではなく、自分や家族にとって優先順位の低い支出を減らし、大切にしたいものにはお金を使うことが、無理なく家計管理を続けるポイントです。
また、貯蓄額を先に決めることには、「使ってよい金額が分かる」というメリットもあります。毎月できるだけお金を使わないようにするのではなく、将来のための貯蓄を確保したうえで、残ったお金は現在の暮らしのために使う。貯めるお金と使うお金を明確に分けることで、ストレスなく貯蓄を続けることができるでしょう。
まとめ
お金を貯めるために大切なのは、毎日の節約を頑張り続けることではなく、無理なく貯蓄を続けられるしくみをつくることです。しくみができれば、残ったお金は安心して今の生活に使うことができます。貯蓄は一時的に頑張るものではなく、長く続けていくものです。だからこそ、意志の力だけに頼らず、自然と貯蓄が続く流れを家計の中につくっておきましょう。「貯めることを頑張る」のではなく、「頑張らなくても貯まるしくみをつくる」。それが、貯まる家計への第一歩です。
