住宅購入前に考えたい ライフプランから考える住宅資金

住宅資金は教育資金、老後資金と並ぶ人生三大資金のひとつです。住宅は人生の中でも特に大きな買い物であり、購入後の家計や暮らしに長く影響を与えます。本記事では住宅購入前に押さえておきたい資金計画のポイントと、ライフプランから考える無理のない住まい選び方について解説します。

1 住宅資金とは? 家を買うお金だけではない

住宅資金というと、多くの方が住宅の購入代金や住宅ローンのことを思い浮かべるかもしれません。しかし、実際には住宅資金は家を買うためのお金だけではありません。住宅を購入するときには物件価格以外にもさまざまな費用がかかります。またその後も住み続ける限り一定の支出が発生します。

購入時には物件価格以外にも諸費用がかかる

住宅を購入する際には、土地や建物の購入費用に加え、仲介手数料や登記費用、住宅ローンを利用する場合の事務手数料や保証料、印紙税などの諸費用が必要になります。また、新居で生活を始めるためには、引っ越し費用や家具・家電の購入費なども考えておかなければなりません。

一般的に、これらの諸費用は新築・中古や住宅ローンの利用状況によって異なりますが、物件価格の5〜10%程度を見込んでおくと安心です。頭金は準備したけれど諸費用や新生活の準備費用を忘れていたというケースは少なくありません。事前に資金計画へ組み込んでおきましょう。

購入後も維持費がかかる

住宅を購入すると維持費も発生します。戸建て住宅であれば固定資産税や都市計画税に加えて数年から十数年おきに外壁や屋根などの修繕費、キッチンや水回りなどの設備交換費用などが必要です。マンションの場合は、それらに加えて管理費や修繕積立金も毎月支払うことになります。火災保険や地震保険の更新費用も忘れてはいけません。

これらは住宅ローンとは別に必要となる支出です。特に設備の交換やリフォームは、一度に数十万円から数百万円かかることもあるため、将来を見据えて計画的に準備しておきましょう。

2 ライフプランから住宅予算を考える

住宅購入は家を買うことがゴールではなく、その後も安心して暮らし続けるためのスタートです。住宅を購入すると多くの方が数十年という長い期間にわたって住宅ローンを返済していくことになります。その間、子どもの成長や働き方の変化など、暮らしは少しずつ変わっていくでしょう。だからこそ住宅だけではなく家計全体を見据えた資金計画を立てることが大切です。

借りられる金額と返せる金額は違う

住宅ローンを検討すると金融機関から「これだけ借りられます」と借入可能額を提示されます。しかし、この借入可能額はあくまでも審査上借りられる金額であり、無理なく返済できる金額とは限りません。

毎月の返済額が家計に占める割合が大きくなると、旅行や趣味を楽しむ余裕がなくなったり、急な出費に対応しにくくなったりすることがあります。借りられる金額ではなく、無理なく返済できる金額を基準に住宅予算を決めるようにしましょう。

教育費や老後資金とのバランスを考える

住宅ローンは20年、30年と続きます。その間には、お子さまの進学や車の買い替え、転職や独立、老後など、さまざまなライフイベントが訪れます。

住宅に予算をかけすぎると、教育費を十分に準備できなかったり、老後資金の積立が後回しになったりする可能性があります。ライフプランをたて、人生全体で必要になるお金とのバランスを考えながら無理のない資金計画を立てることが大切です。

3 知っておきたい住宅ローンと税制優遇制度

住宅購入では、住宅価格だけでなく、どのような住宅ローンを選ぶかによって家計への影響が大きく変わります。また、税制優遇制度を活用することで、負担を軽減することができます。

金利タイプの特徴を理解する

住宅ローンには、大きく分けて「変動金利」と「固定金利」の2つがあります。

変動金利は固定金利よりも低い金利で借りられることが多く、毎月の返済額を抑えやすい点が魅力です。一方で、市場金利の動向によって将来金利が上昇し、返済額が増える可能性があります。ただし、多くの金融機関では急激な返済負担を防ぐために、「5年ルール」や「125%ルール」が設けられています。

5年ルールとは、金利が上昇しても毎月の返済額はすぐには変わらず、通常は5年間据え置かれる仕組みです。金利が上がると、本来は返済額も増えるはずですが、毎月の返済額はそのままです。また、5年後に返済額を見直す際にも、125%ルールが適用される金融機関では、新しい返済額はそれまでの返済額の1.25倍(125%)までしか増えません。例えば毎月8万円返済していた場合、見直し後でも最大10万円までしか増えない仕組みです。この2つのルールによって、急に返済額が大きく増えて家計が苦しくなることを防げます。

しかし、その一方で注意したい点もあります。金利が大きく上昇すると、本来支払うべき利息が毎月の返済額に収まりきらなくなることがあります。すると、返済したお金が利息だけでほぼ使われたり、場合によっては利息すら払い切れず、未払利息が発生します。

未払利息は返済が免除されるわけではなく、将来まとめて支払う必要が生じる可能性があります。5年ルールや125%ルールがあるから安心と考えるのではなく、金利が上昇した場合の返済額や家計への影響も考慮して、無理のない借入額を設定することが大切です。

固定金利は借入時の金利が返済終了まで変わらない、または一定期間固定されるため、将来の返済額を見通しやすいことが特徴です。ただし、その分変動金利よりも金利が高く設定される傾向があります。

固定金利と変動金利のどちらを選ぶかはどちらが正解というものではありません。家計にどの程度の余裕があるのか、将来の収入や支出をどう見込んでいるのか、金利上昇に対するリスク許容量など、それぞれのライフプランに合わせて選ぶことが重要です。

頭金の入れすぎやボーナス返済、繰り上げ返済には注意しよう

住宅ローンでは、頭金やボーナス返済、繰り上げ返済を利用することで、返済負担を軽減できる場合があります。しかし、いずれも無理をして行うと家計に余裕がなくなってしまうため注意が必要です。

頭金を多く入れれば借入額が減り、毎月の返済負担や支払う利息を抑えられるメリットがあります。一方で貯蓄のほとんどを頭金に充ててしまうと、購入後に手元資金が不足してしまうことがあります。

ボーナス返済をすることで月々の返済を少なくすることができます。ただし、ボーナスは将来も同じ金額が支給されるとは限りません。勤務先の業績や働き方の変化によって減額されたり、支給されなくなったりする可能性もあります。住宅ローンは毎月の収入だけでも無理なく返済できる範囲で計画を立てるのがおすすめです。

また、繰り上げ返済は総返済額を減らせるメリットがありますが、手元の預貯金を減らしすぎるのは危険です。教育費や住宅の修繕費、病気や転職など、将来まとまったお金が必要になる場面は少なくありません。

住宅ローンを早く返済したい気持ちも大切ですが、生活予備費や将来のライフイベントに備える資金を確保したうえで、無理のない範囲で行うようにしましょう。

団体信用生命保険も確認しておこう

住宅ローンを組む際には、多くの場合、団体信用生命保険(団信)へ加入します。

団信は、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態になった場合などに、保険金によって住宅ローンの残債が返済される制度です。家族が住まいを失うリスクを軽減できるため、住宅ローンを考えるうえで重要な保障の一つといえます。

最近では、がんや三大疾病、就業不能などに備えられる特約付きの商品も増えています。ただし、保障内容が充実する分、金利が上乗せされるケースもあるため、内容と費用のバランスを確認して選ぶことが大切です。なお、団信に加入することで死亡・病気保障が手厚くなります。現在加入している民間の生命保険も併せて見直すようにしましょう。

税制優遇制度を活用する

住宅購入に際しては税制優遇制度が準備されています。

代表的なものが住宅ローン控除です。一定の条件を満たす住宅を住宅ローンで取得した場合、年末のローン残高の0.7%が13年間(中古の場合は10年間)所得税・住民税から控除されます。現在は省エネ性能(ZEH水準や省エネ基準適合など)を満たした住宅が主な対象となり、住宅の性能や子育て世帯・若者夫婦世帯などの区分によって借入限度額や控除額が変わります。適用にあたっては、性能証明や入居時期、借入期間などの要件を事前に確認しておきましょう。

また、親や祖父母から住宅購入資金の援助を受ける場合には、住宅取得等資金の贈与の特例を利用できるケースがあります。所得制限や直系尊属からの贈与など一定の要件を満たせば、省エネ住宅等の新築住宅で最大1,000万円、その他の新築住宅で最大500万円まで住宅購入に際して行われた贈与にかかる贈与税が非課税となります。

これらの制度は、住宅購入の負担を軽減するために設けられていますが、適用条件や期限は毎年の税制改正によって変更されることがあります。住宅購入を検討する際は、不動産会社や金融機関、ファイナンシャルプランナー、税理士などの専門家にも相談しながら、最新の制度を確認するようにしましょう。

まとめ

住宅は家族が長い時間を過ごす大切な場所です。目先の購入費用だけで判断するのではなく、購入時の諸費用や購入後の維持費、また将来の暮らしまで見据えた資金計画を立てることが重要です。人生全体を見据えたライフプランをつくることが後悔しない住まい選びへの第一歩となるでしょう。住宅ローンの特徴や税制優遇制度についても正しく理解し、ご自身の家計に合った選択をしてください。

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