リスクマネジメント基本の「き」 知らなきゃマズイ2つのステップ

リスクマネジメントの重要性が認識されるようになってきました。大震災や台風などの自然災害だけでなく、人的なミスによる損害賠償など様々なトラブルが事業にはついてまわります。ここではリスクマネジメントの輪郭を大まかに捉えてもらえるようざっくりとお伝えします。

リスクマネジメントの目的

冒頭であげたように、仕事をしていくには多くの危険や事故等のトラブルが起こります。その中には、起きたら一発で会社が倒産するものから、100万回起きても大丈夫なものまでたくさんの種類があります。そんな中で、リスクマネジメントは下記のようなことを目的にしているものだと言えます。

トラブルは起きちゃうんだから、起きた時のダメージを減らして、会社が長く続くようにしようよ

つまり事故は起きるモノとしたうえで、あらかじめ何ができるかを考えることがリスクマネジメントですそれによって事故に遭う可能性と、もし事故に遭ってしまった時のダメージを減らし、会社を守ることができるようになります。

■リスクマネジメントの効果イメージ

リスクマネジメントの2つのステップ

具体的にリスクマネジメントは何をするのでしょうか。大まかに表現すると下記2つのステップがあります。

1:どんな危険があるかはっきりさせる
2:それぞれ危険ごとにどうするか決めておく

どんな危険があるかはっきりさせる(リスクアセスメント)

大きいものから小さいものまで、どんな危険があるか思いつくものすべて洗い出します。専門的には「リスクアセスメント」と言われます。これには一般的にリスクマップというツールを使うことが多いです。リスクマップは、思いつく危険を ①起きる頻度 ②ダメージの大きさの2つを基準にして4つの箱に分けて考えていきます。

■リスクマップのイメージ

■4つの区分

保有起きても痛くも痒くもない危険です。あえて戦略的にほっとくことが許されます。
予防・移転あまりダメージは大きくないけど、回数が多いとジャブのようにダメージが蓄積される困った危険です。起きる可能性を減らす工夫をして、保有に移したりすることを検討できます。
移転あまり起きないけど起きたらダメージが大きい危険です。保険など外部のサービスやツールを使ってどうにかできないか、保有に移すこと等を検討します。
回避起きる可能性も高く、ダメージも大きい危険です。基本的には撤退など逃げるのが一番ですが、移転や予防・軽減に移すことができないかも検討します。

基本的には、社内で意見を出し合ったり、専門家に協力してもらったりしてリスクマップを完成させていきます。その後、どの危険から対策していくべきか優先順位を付けたりします。

それぞれどうするか決める(リスク対策)

リスクマップでどんな危険があるかをはっきりさせたら、次はそれぞれどうするかを検討していきます。専門的には「リスク対策」と言ったりします。ここは本当はかなり複雑なんですが、ざっくりまとめると下記の2つに分けられます。

  • 起きる可能性とダメージを減らす
    専門的にはリスクコントロールと言います。基本的には、①起きる前の対策(危険が起きる可能性を減らすために何ができるかを検討します。地震に備えて、棚を金具で固定する、耐震基準の高い建物にオフィスを引っ越しするなどのイメージです。)と、②起きた後の対策(危険が起きた時に、ダメージを減らすために何ができるかを検討します。地震が起きたら誰を中心にどこに避難するか、連絡方法はどうするかを決めておくなどのイメージです。)の2つを分けて考える必要があります。
  • 起きた後のお金を確保する
    専門的にはリスクファイナンシングと言います。トラブルが起きると、モノや人的な被害などたくさんの損失があります。建物やモノを買い直したり、社員への補助、第三者への賠償など、何かしようとしたときにはお金が必要になることが多いです。そのお金をどうやって準備するかをあらかじめ決めていきます。保険や融資の相談など他人の力を使うものと、積立をするなど自分の力で準備する方法があります。

■リスク対策のイメージ

すぐ始められるリスクマネジメント

リスクマネジメントは、突き詰めると切りがないですし、かなりの専門性が必要になってきます。大企業や社会インフラを担う事業者は、営業ができないことで社会に与える影響が大きいので、本気で取り組むことが求められます。中小企業においても、専門的な知識がなくてもできる範囲で取り組むだけでも、危険に対する意識が強まり、事故などを予防する効果があります。

リスクマップの作成は、社内やチームのミーティングなどで気軽に始めることもできるので、まずはゲーム感覚で初めて見ることをお勧めします。