発注者から預かったマスターキーの紛失・盗難・損壊に備える保険とは

マンションの大規模修繕工事をやられている建設会社様は業務上、マンションの管理組合様からマスターキーを預かることがあります。万が一、そのマスターキーを失くしてしまった場合の備えはしておりますでしょうか。

賠償責任保険での備えと注意点

通常の賠償責任保険は他人に損害を与えたために法律上の賠償責任を負担することに被る損害(いわゆる賠償損害)に備える保険です。損害賠償責任は一般的には「他人の物を壊したり、他人にケガをさせたりすること」で発生します。建設会社様が工事のために「預かったマスターキー」の事故について「通常の賠償責任保険」で備えられるかどうか考えてみましょう。

マスターキーを預かる、紛失・盗難

まず、「預かる」という行為は、マスターキーの管理責任がマンション管理組合様から建設会社様に移行するので、「他人の物」から外れてしまいます。次に「マスターキーの紛失・盗難」は「物を壊す」行為にあたりません。

マスターキーの損壊

最後に「マスターキーの損壊」はというと、確かに「物を壊す」という行為にあたるので「他人の物を壊す」にあたれば一般的な賠償責任保険で備えることができるでしょう。しかし、マスターキーの修理と同時にシリンダーも交換しないといけなくなる場合の「シリンダー」は壊れていないので、これもまた「物を壊す」行為にあたりません。

つまり「通常の賠償責任保険」では、マンション管理組合様から預かったマスターキーの紛失・盗難・損壊に備えることが出来ないかもしれません。

備えるには特約を付ける必要あり

では「預かったマスターキーの紛失・盗難・損壊」に備えることが出来ないのかというと、実はそうではありません。「通常の賠償責任保険」にいくつかの特約をセットすることで備えることが出来るようになります。

上記の「預かる」「紛失・盗難」「シリンダー交換」で、別々の特約が必要になることが一般的です(損害保険会社によって各特約の名称が違います)。また、基本のプランで備えることが出来る保険会社の商品もございます。

このあたりは、保険における「他人の物」の考え方が大きく関わってくる難しい部分です。詳しくはお近くの保険会社もしくは代理店にご確認ください。

まとめ

マンションの大規模修繕工事は、とでも神経を使う工事だと伺ったことがございます。よろしければ大規模修繕工事におけるリスクの洗い出しをして、現在ご加入の賠償責任保険の内容について確認をしてみてはいかがでしょうか。ご案内をした特約について詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。