保険代理店が新人研修で最初に伝える「保険の全体像」

「保険てよく分かんない」「良い噂を聞かないし、怪しい…」「調べても言葉が難しくて嫌になる」と思っていませんか? たしかに保険は専門的な部分が多いです。学校で教えて貰うことも無いので「よく分からない」と感じている方は多いです。

しかし、ビジネスにおいて保険に関わることは多いです新しく会社で保険担当になった、プロジェクトの中で保険が必要になった、経営者として保険加入を検討しなきゃいけない等、切り離せません。

保険の概要を知らないままだと、自分で判断できず営業マンの言いなりや、誤った保険に加入してしまうことに繋がります。実際に、誤った内容で保険に加入し、保険金を受け取れないということは多く起きています。私たちは2002年から代理店として運営していますが、その中で多くの適切でない加入事例を見てきました。

この記事では、保険の仕組みと役割をできるだけ簡単に解説します私たちが、未経験の新入社員に最初に伝えている内容です。この記事を読むことで「そもそも保険てなんなんだ」ということを理解し、あなたの仕事に役立てることができます。

保険は公的と私的がある

保険は広い意味でとらえて大きく分けると、「どこが運営しているか」で2つに分けることができます。

・公的保険
・私的保険

公的保険は、いわゆる社会保険制度です国民健康保険や国民年金などは、誰でも聞いたことがありますよね。この公的保険は、国や地方自治体が運営していて、生活の土台を固める目的があります。

私的保険は、公的保険(社会保険制度)では行き届かない部分や、カバーできない部分に備えます私的保険は、民間の保険会社が運営しています。生命保険と損害保険に分かれ、それぞれの保険会社で多くの商品を作っています。

■公的と私的保険のイメージ

上記の図は、厳密にはきれいに分かれない分野や、少額短期保険等もありますが、複雑になるので省略してます。ここでは運営主体によって、公的と私的で分かれていることを捉えてもらえればOKです

アルバイトや20代の新入社員の研修時に「何か保険入ってる?」といつも質問しています。すると「うーん、入ってないです」「親は入ってますけど、自分では入ってないです」という返答が大半です。

しかし、国民健康保険や国民年金は基本的に日本国民はみんな加入しなきゃいけない保険です。そのため、広い意味での保険では「公的保険」にみんな必ず加入していることになります。

何かあったときに、お金をもらえる仕組み

保険をイメージしやすい言葉で表すと、何かあったときに、お金がもらえる仕組みです。

「何か」があらかじめ想定されていて、その「何か」ごとに公的であれば制度、民間であれば商品が作られています。(あくまでイメージです。正確な定義はこの記事を読み終わったときに Wikipedia などで調べてください。)

■何かあった時の例

医療を受けたとき健康保険、国民健康保険、医療保険。
仕事がなくなったとき雇用保険
老後になったとき国民年金
仕事中にケガや病気になったとき労災保険
火事にあったとき火災保険
自動車で事故を起こしたとき自動車保険
事業で賠償責任をおったとき損害賠償責任保険
死亡したとき生命保険
がんになったときがん保険

公的保険は加入が義務になってるものばかりなので、どれに加入しなければいけないのか、またはしているかを整理しておくことが大事です。企業の場合、この辺は社労士さんに聞いてもらえれば教えてくれます。

私的保険は、「何か」がやたらと多く複雑なので、自分にとってどれが必要なのかを考えて、必要なものに加入することが大切です。

保険はみんなでお金を出し合って成り立つ

保険に加入する際に、保険料を支払います。公的、私的どちらもかわりません。ただで何かあった時にお金をもらえるわけではないです。

ここで知っておくべき重要なポイントが一つあります。保険の仕組みの根本的な部分ですが、保険とは下記のような仕組みになっています。

「みんなでお金を出し合って、貯めておいたものを、本当に何かあった人に渡している」

専門的には相互扶助といいます。商品やサービスを単純に「買う」ということとは少し違っていて、困った時のためにみんなで協力しようか」という感じの仕組みになっています。

そのため、社会全体で過去の事故件数、被害総額、維持運営する経費など様々なデータをもとに、厳密な計算の上保険料が決められていきます。

これを理解していないと、よくある不満で「自分は保険一度も使っていないのに、保険料が値上がりした」という声があがってきたりします。

保険はあくまでも「助け合いの精神」がベースになっているので、全体の傾向が値段に反映されます。

生活や事業活動を支える役割

保険は「何かあったときにお金を貰える仕組み」と言いましたが、事故や災害、病気など、自分ではどうしようもない不幸は誰にでも平等に起こる可能性があります

もし、そうした出来事にあったときに、その生活や事業活動を支える非常に意義のある制度が保険です。よく事例で出しているケースがあります。

■事例
会社員のAさん(45歳)は、毎日バリバリ働いています。
結婚して18年目で、専業主婦の奥さんと子供2人(16歳と12歳)と生活しています。

8年前に家も新築で一戸建てを購入し、住宅ローンで月8万円を支払っています。その他に車のローン月4万円や子供の教育費などの積立もおこなっています。
冬の寒い日に、リビングのコンセントに溜まった埃に漏電し発火してしまいます。真上にあったカーテンに、すぐ火が燃え広がりました。乾燥した冬であったこともあり、カーテンから壁や天井へと火がつたい、瞬く間にAさんの自宅は全焼してしまいました。

幸い家族全員逃げ出せました。しかし、家を再築し家財を買い替えるのに4000万円程かかりそうです。さらに子供の進学で教育費が必要です。…

さて、この場合、Aさんは4,000万円を簡単に払えるでしょうか。

おそらくですが、払えない可能性が高いでしょう。そしてこの火事をきっかけにAさんの生活は悪い方に急変してしまいます。二重ローン、ダブルワーク、奥さんもフルタイムで働く、子供の進学断念など、最悪のケースはいくつか想定できますね。

しかし、もし火災保険にきちんと加入していた場合は、4,000万円を保険で賄うことができるかもしれません。

もし4,000万円を受け取れたら、すぐに家を建て直すことができますし、仮住まいの家賃や、ローン返済、子供の学費にも対応できるでしょう。

このように、事故や災害をなかったことにはできませんが、できるだけ元通りに近づけたり、損失を埋めるサポートができるのが保険という商品です。

まとめ

個人でも多くの危険がありますが、法人の場合でも従業員とその家族、取引先やお客さま、第三者など多くの人への影響が考えられます。

そのため、どんな可能性があって、被害は最悪どの程度になるのかをきちんと検討して、保険を有効に活用してください。