
事業では、「人も傷つかない、物も壊れていないが、相手に損失が発生する」ことがあります。例えば、自社工場が操業停止したために、完成品メーカーの求める納期に間に合わなかったとか、製造した部品が完成メーカーの求めるスペックを満たさず、代替品調達にかかるコストを完成メーカーから賠償請求されるケースです。
通常の賠償保険は対人・対物被害が必須
賠償責任保険は、他人に損害を与えたために法律上の賠償責任を負担したことにより被る損害(いわゆる賠償損害)に備える保険です。損害賠償責任は一般的には下記のような「他人の物を壊したり、他人にケガをさせること」で発生します。
・製造した文房具に欠陥があり、使った子供がケガをした(身体障害)
・販売した電気カミソリが充電中に漏電して火災を起こして家が燃えた(財物損壊)
そのため、保険契約者・被保険者の他に、常に被害者である第三者(他人)がいて、かつ被保険者と第三者の間に「損害賠償責任」が必要です。一般的な賠償保険は、下記のような状態の時に備える保険と言えます。

つまり「他人にケガをさせた」「他人のものを壊した」という事態が起きていない場合は、損害賠償責任がないので、基本的に賠償保険は使えないことになります。
対人・対物被害のない事故に備える保険
しかし、実際のビジネスでは冒頭にあげたような「対人・対物被害がないトラブル」から賠償請求されるケースが発生します。
・自社工場が操業停止したために、完成品メーカーの求める納期に間に合わなかったため損失が出た
・製造した部品が完成メーカーの求めるスペックを満たさなかったため、代替品調達にかかる損失がでた
このような、「身体障害」も「財物損壊」も伴わない損害賠償を法律や保険では「純粋経済損害」と言います。こうした損害に備える保険として「E&O保険」があります。E&OとはErrors(過失)Omissions(怠慢)の略で、日本語では業務過誤賠償責任保険と言われています。
日本の損害保険では「純粋経済損害」に備えるE&O保険の販売については消極的でしたが、昨今のグローバル化により、海外の保険会社の知見が広がり、積極的にE&O保険を販売する動きも出てきました。
まとめ
条件にもよりますが、その企業独自のリスクについて、オリジナルでE&O保険を組成する保険会社もあります。ノバリも一般の賠償保険とともに、長年販売してきていますので「純粋経済損失」に対応するE&O保険を詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。