
私たちの生活に欠かせないものに電気があります。電気は安全に使用するために様々な法律規制があります。その一つが高圧電流から低圧電流に変換するキュービクルの点検業務です。この業務は、電気保安協会と電気管理技術者協会に所属する電気管理技術者が行うことができます。しかし、人々の生活に密接にかかわるため危険も大きくリスク対策が必要な業務です。
電気保安業務を行う事業者
電気は目に見えないので専門家の定期的な点検が欠かせません。しかし、高圧電流は素人が扱うと火災発生や感電死してしまう程恐ろしいものです。そのため、点検業務は誰でも出来るわけではありません。
基本的には電気管理技術者の資格を持ち、かつ電気保安協会・電気管理技術者協会に所属する個人事業主が行うことができます。もしくは2004年の電気事業法施行規則の変更に伴い、条件を満たした一般の法人も保安業務が出来るようになりました。これを電気保安法人と言います。資格を持っているだけでは業務を行えないので、かなり厳格に規制されている仕事だと言えます。
こうした専門的なスキルを持った事業者に支えられて、私たちは日々電気を安全に使うことができています。
点検業務の賠償リスク
電気のプロフェショナルが行う電気保安業務にも、第三者を巻き込む様々なリスクが存在します。厳しい規制がされるということは、大きな事故や被害を生む危険性が高いことを意味しています。電気保安業務で、損害賠償に発展するような事故としては大きく下記2つが考えられます。
他人の物を壊したりケガをさせた場合
賠償事故としてはイメージしやすい「対人・対物事故」です。下記のように、電気そのものが他人に被害を与えてしまうケースや、電気が使えなかったために発生する物の被害などが該当します。
・保安管理先で感電死事故が発生して電気保安管理者としての責任を問われる
・保安点検した後にスイッチを入れ忘れたために電気が流れず冷蔵庫の中の物が傷んでしまった
経済損失のみの場合
上記とは異なり、第三者の物の損壊やケガは無いが、経済的な損失が発生するケースが想定されます。法律では純粋経済損失と言われる内容で、下記のような被害が該当します。
・太陽光発電の保安業務の後にスイッチを入れ忘れた為に売電できなかった
・設備の交換時に誤った器具を交換したことによる交換費用
賠償責任に備える損害保険
上記のような被害による損害賠償に備える方法として、損害保険があります。すでに損害保険に加入している事業主も多いかと思います。
しかし注意が必要なのは、人のケガや物の損害が無い事故(純粋経済損失)の場合は、専用の保険を検討しなければなりません。そのため、2つのリスク両方に備えようとした場合、それぞれ別の保険に加入する必要があります。また純粋経済損失については、基本的には事業者が法人なのか個人事業主なのかによって下記のように対応する商品が変わってくることが一般的です。
加入している保険によっては、片方しかカバーされていない可能性があるので、改めて確認していただくと良いと思います。
■対応商品例
対人・対物被害がある事故 | ・一般的な損害賠償責任保険 |
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純粋経済損失のみの事故 (対人・対物被害が無い事故) | ・専門職業賠償責任保険(個人事業主) ・E&O 業務過誤賠償責任保険(法人) |
この純粋経済損失の事故は、従来リスクの判定が難しく日本の損害保険会社は引受姿勢がネガティブでした。その中で一部の外資系保険会社が限られたユーザーのみに販売をしていた経緯がありますが、最近は電気保安業務のリスクデータが積み重なってきた事もあり、引受可能な損害保険会社も出てきました。実際に契約をするには、それぞれの契約者の潜在リスクを詳細に把握する必要があります。
個人事業主・法人でもお引受けをすることができますので、電気保安業務の賠償責任に備える保険に興味のある方は、お問い合わせください。