
おはようございます。全国の営業所長,従業員の皆さんも、おはようございます。
今月のビジョンシェアリングは「最近の保険業界と今後の対応」になります。改めて保険のワーキング・グループなどの金融審議会で議論し、主にノバリ株式会社に関連するところをお伝えしたいと思います。難しい議論ではなく、従業員全員が理解しやすいお話になれば幸いです。
最近の保険業界の状況として、損保会社のビッグモーター、保険料事前調整(カルテル)の問題、生保会社の代理店広告の問題、ディーラーや保険会社出向者による個人情報の漏洩などがあります。金融庁による報告徴求命令や保険会社各社へのアンケートを通じて、実態の把握が進められ、監督規制の変更が議論になっていました。一体何が問題なのか、誰に不利益が生じているのかというと、顧客本位の業務運営の原則に反する事態が生じる恐れがあるということです。保険会社から代理店への過度な便宜供与は、顧客の自由な商品選択を歪めてしまい、結果的に顧客の利益が損なわれることに。ですから、顧客本位に対する正しい理解と、両者の関係性の改善が必要になります。
2024年9月から12月の保険のワーキング・グループでは、大規模乗合代理店に対する規制の強化・乗合代理店の比較推奨ルールの変更・保険会社による代理店管理の強化・保険仲立人の活用促進・契約者グループや代理店への便宜供与の禁止・企業内代理店の特定契約比率規制の変更・火災保険等の赤字構造の改善などを主に議論しました。ポイントとして、保険会社に代理店の適切な管理を求め、大規模代理店には新たな体制整備義務を課すとともに、契約者グループへの便宜供与を特別利益の提供として規制するということです。監督規制においては損保と生保を区別していないため、業界全体に影響が及ぶことになります。
代理店のコンプライアンス体制については、保険業法上は保険会社が代理店を指導する立場にありますが、売上を重視するあまり、営業部門による十分な監督が期待出来ないのが現状との見方です。そのため、金融庁の代理店への立入検査等による規制強化とともに、保険会社には代理店の業務品質を重視した適切な指導が求められるとの結論になっています。代理店手数料ポイントの見直し、特定大規模乗合損害保険代理店の体制義務などの流れになっています。保険代理業は金融機関であるという考えを当局は持っています。
比較推奨販売に関する規制変更についてですが、従来は顧客の意向に沿った選別ではなく、代理店の判断による選別も許容されていました。いわゆるハ方式というものです。金サ法(金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律)の改正により、顧客の最善の利益を勘案した比較推奨が必要になりハ方式は廃止へ。これを受け、顧客の意向に沿って商品を絞り込むこと,絞り込みにあたって顧客が重視する項目を把握すること,意向に沿って商品を選別することが求められることになりました。詳細は今後の監督指針において示される予定です。
代理店業務品質の第三者評価は、2024年11月から2025年3月にかけて、6回の検討会を開催し、1年間のトライアル運用を経て、2026年度からの本格運用を予定しています。以下の3つを合わせた仕組みになっています。①共通の評価指針を作成し、チェックシートをもとに代理店が自己点検②自己点検結果をもとに、保険会社が定期監査を行い、代理店と対話③第三者組織が問題のある代理店の実態調査を行い、結果を当局と連携。全ての損保会社が共通の枠組みで、代理店の監査・指導を行うことに代申会社だけでなく、非代申会社も代理店指導に一定の責任を負うようになります。また、全ての損保代理店が対象となり、手数料ポイントや金融庁の監督とも連動する仕組みになる方向です。
代理店手数料に関する監督指針案は、保険会社における留意点として、①規模・増収率に偏ることなく、業務品質を重視②業務品質評価の指標は、顧客にとってのサービス向上や法令遵守③営業上の目的で、他社の割増引率に追随するようなことはしない④業務品質評価割合の考え方の開示などです。また、手数料の算出にあたり、コンプライアンス上疑義のある事案の発生状況なども考慮します。保険募集に関する業務の健全かつ適切な運営を阻害する不適切なインセンティブを与え、不適切な保険募集を誘引することがないようにするということです。
今後の損保業界のあり方ですが、損保会社と代理店が手を取り合って信頼回復に取り組むことが重要です。信頼感と緊張感を持った新しい関係性を構築していくということです。高い業務品質でお客さまから選ばれ、代理店の存在価値の向上を目指すことが、今後生き残る代理店の姿になると思います。以前から保険会社からBCP(事業継続計画)を要望されることが多かったのですが、現在、九州の地で第二本社をつくる方向で動いています。求める人材の採用が進めば、保全と管理の強力なバックオフィスになると思います。乞うご期待ですかね。
では、今月は以上とします。ありがとうございました。